こんにちは。
皆さんはグループワークなど何か1つの作業を大勢の皆でやるように言われた時に、どのような振る舞いをするのでしょうか。
率先して皆を引っ張っていくリーダータイプ、そのリーダーのフォローをする人、皆が働きやすいように裏方に徹する縁の下の力持ちタイプなど様々な動きをする人がいることでしょう。
ただ、こういう時に決まって「何もしない」という人も出てきます。
グループワーク以外の1人の時はしっかりと作業をするのに、集団の中にいると手を抜きがちな人はリンゲルマン効果に陥っていると言えるでしょう。
リンゲルマン効果は、心理学者であるリンゲルマンが提唱した集団心理現象の1つで、人間は集団で作業した場合、1人で作業するよりも生産性が低下するという現象です。
これは、集団でいることにより、周囲に対して自分の働きが隠れている状況が原因であると考えられます。
自分の働きが隠れることにより、誰がどの程度貢献したが不明確となり、「頑張らなくても同程度の評価が得られるだろう」、「自分がやらなくても誰かがやってくれてそのうち終わるだろう」という思考が現れ、結果として頑張らない人たちが出てくるのだと思われます。
リンゲルマン効果は、その特徴から傍観者効果と一緒に取り扱われることもあります。
・綱引きの実験
綱引きを行い、参加人数と1人当たりの力の量を計測したところ、人数が増えるにつれ1人あたりの力の量が減少することが確認されました。
このことから、人は集団で作業をする場合、参加する人数が増えるほど参加者の意識に「自分1人だけが全力で頑張る必要はない」という心理効果が表れ、1人あたりの貢献度が下がることが判明しました。
・チアリーディングの実験
被験者のチアリーダー2人に対して、お互いの様子が分からないように目隠しとヘッドホンをつけてもらい、大声による音量測定を行いました。
その結果、1人で行った測定時よりも、2人で行った時の方が音量が小さいことが分かりました。
このことからリンゲルマン効果は、必ずしも大人数の集団だけでなく、2~3人でも起こると考えられます。
上記の実験において、それぞれのプロ集団で再度実験を行ったところ、パフォーマンスの低下は見られませんでした。
他にも綱引きの実験では、参加者個人を応援することにより、その参加者のパフォーマンスが向上したことも認められています。
つまり、集団といってもその道のプロフェッショナルが行う、個人をしっかりと評価することにより、リンゲルマン効果は起きにくいということが分かりました。
プロフェッショナル集団は自身の作業に自信と誇りを持っているため、例え人数が増えようと決して手を抜くことはしないと考えられます。
また、リンゲルマン効果は、自身の貢献度が埋もれてしまうことにより起きるため、しっかりと評価をしてくれる人がいれば防げると考えられています。
現代社会では、業績に合わせて従業員一律の評価となることが多いため、それだけではなく各々の貢献度を数値化し、しっかりと評価を受けられる環境を作ることが、従業員のモチベーションアップ、作業効率の向上に繋がると考えられます。