自分自身を第三者視点で傍観する【離人症】
2020.5.7
自分自身を第三者視点で傍観する【離人症】

こんにちは。

先日解離性同一性障害の勉強をしている中で、別人格の形成の他に自分が第三者視点で自分自身を観察している様な体験をすることもあるということを知りました。

ドラマや映画でも、自分の身体をすり抜けて、自分自信を見下ろすことが出来る様な描写も多く存在しているため、決して症例が少ないわけではなく、現実にも存在しているのだと考えられます。

離人症とは

解離性障害の一つとして分類されており、自分自身を外から観察している様な離人感を感じたり、自分が世界と切り離された存在である様に感じる現実感消失の症状が現れます。

自身では受け止めきれないストレスの蓄積により発症すると考えられており、徐々に症状が現れることもあり、ある日突然発症することもあります。

離人感や、現実感消失の症状は数時間で症状が治ることもあれば、数日、数週間、数年にも及ぶこともあります。

離人症の場合は、現実感を感じることが出来ず、自身の感情や言動をコントロール出来なくなるという症例もあります。

感情、肉体、もしくは両方が麻痺していると感じ、自分のことを自分自身の生活を外から見ている傍観者や、生ける屍と表現されることもあります。

現実感消失では、現実世界のことが自分の生活から切り離されており、現実感を感じることができない傾向にあります。

自分と現実世界の時間の進み方や、音の聞こえ方、色彩の見え方の違い、視界がぼやけて見えたり、逆にとても鮮明に映ったりと、現実とはものの感じ方に変化が生じます。

離人症の原因

前述している様に耐え難いストレスが原因である可能性が高く、中でも幼少期の虐待やいじめなどのトラウマ体験を抱えている方が多い傾向にあります。

自分では受け止めきれないストレスから心を守るために、虐待やいじめの対象を自分ではないと感じられるように傍観者になったり、現実感を感じにくくしているのだと思われます。

これらの原因については、他の解離性障害の解離性同一性障害や解離性健忘と通ずるところがあります。




離人症の治療

離人症においては、時間の経過とともに症状が消失することもあり、治療は症状が消失しない、患者さん自身が苦痛や生活に支障をきたしていると感じられる場合に行われます。

虐待やいじめ、事故現場の目撃や遭遇などの幼少期のトラウマが原因と考えられる場合は、患者さんがこれらの耐え難い体験や感情を克服できる様に、認知行動療法を用いて離人感を感じずとも対処ができる様にします。

他にもこれらの原因となる事柄には強い不安や恐怖が伴うこともありますので、抗不安薬や抗うつ薬を使用し、不安感を軽減していくこともありますが、人によっては悪化を招くこともありますので、カウンセラーさんが慎重に見極める必要があります。

また、離人症は他の不安障害やうつ病などの精神障害が関係している場合もあり、根本的な治療には元となる症状に対する治療が必要となることもあります。

この記事がいいと思ったらぜひシェアをお願いします