こんにちは。
ステイホーム週間を利用して多重人格について描かれたスプリットという映画を視聴しました。
3人の少女とその少女たちを誘拐した23人の人格を持つ犯人との攻防を描いた物語ですが、展開が読めないハラハラとした内容でとても楽しめました。
23人の人格というのは極めて希少な例ですが、2人程の多重人格は決して珍しいものではありません。
解離性同一性障害は解離性障害の一種で、本人にとって耐え難い事柄から心を守るために、自分の心と感情を切り離して、心へのダメージを回避するための一種の防衛反応の様なものと考えられています。
他にも自身が当事者ではなく傍観者の様に感じる離人症や、辛い出来事があった時のことを思い出せない解離性健忘などがあります。
解離性同一性障害は解離性障害の中でも重い症状で、一度切り離した心が自己を持ち、成長し、別人格となり表の人格として現れます。
かつては多重人格障害とも呼ばれていましたが、現在では解離性同一性障害の方が一般的でしょう。
外科や内科などの生理学的障害ではなく、心因性の症状に明確な原因の定義はないため、これという原因を断定することは難しく、あくまで傾向が高い原因となります。
ただ、多くの解離性同一性障害の方は、幼少期に大きなストレスを経験していることが多いことが分かっています。
例えば、学校でのいじめや親からのネグレクト、事故現場の目撃や巻き込まれるなどの経験などが多い傾向にあります。
中でも親や兄弟からのいじめやネグレクトは、本来自身を守ってくれるはずの居場所であるはずの存在からの攻撃であり、幼少の子どもには逃げる場所がなくなってしまいます。
逃げ場がなく、自分で自分を慰める術を知らないが故に、自分が傷つかない様にもう一人の自分を身代わりにするケースもあり、結果もう一人の人格は自分を傷つけた相手を強く恨む様になり、最悪もう一人の人格によって復讐がなされてしまうことも考えられます。
一般的に多数の人格を一つの人格に統合することがゴールと言われておりますが、必ずしも成功するとは限りません。
人格によっては「私を消すつもりでしょ?」などと反発してくることもありますので、統合が難しい場合は、それぞれの人格の協調性を強化し、それぞれが正常に役割を果たせる状態に導いていくのがよいとされています。
精神療法の中ではそれぞれの人格の行動に注意を払いつつ、治療中に蘇るトラウマ体験に対する心的ケアも大切となります。
当人にとってトラウマが強すぎる場合は、取り返しのつかない事態になることもありますので、催眠などを用いて少しずつトラウマ体験を克服できる様にすることもあります。
ただ、治療にとって大切なことは必ずしも人格の統合ではなく、複数の人格がいることによる日常生活の困難さを解消することにあります。
友達に対して、本来意図しないことをしたり言ったりしてしまい、人間関係が悪化してしまったり、別人格が自身の身体をリストカットなどで傷つけてしまったりとすることもありますので、その様なことが起こらない様に別人格と対話をし協調性を強化することも大切です。