こんにちは。
私はおおよそ15時には業務委託の仕事を終え家に帰るのですが、駅までの道中には様々な人が行き来しています。
学校終わりの学生さんやスーツ姿の営業マン、パトロールをしているお巡りさんなど様々な服装の人がいます。
多くの職業に定められている制服には、見た目以上に大切な役割があり、制服によって得られる効果をユニフォーム効果と呼んでいます。
ユニフォーム効果は、アメリカの心理学者であるビックマンが実験を行い明らかになった、人は服装により相手がどのような人間かを判断する傾向がある心理効果です。
警察官の制服を着ていたら「真面目で強そう」な印象を受け、白衣を来ている人は「頭のよさそう」な印象を感じることが多いように、服装が相手に与える印象は大きいことが分かります。
ユニフォーム効果は相手へのイメージだけでなく、着ている人も服装にふさわしい振る舞いをする傾向にあり、職場においては仕事のONとOFFを制服の着用で切り分ける狙いもあります。
また、同じ制服を身に付けることにより仲間意識が高まるため、協力して仕事をこなすことが多い企業にとってユニフォームはなくてはならないと考えられます。
ビックマンは服装の違いと相手に与える印象について実験を行いました。
実験者は電話ボックスに10セント硬貨を設置し、誰かが電話ボックスに入り出てきたタイミングで、「先ほど10セント硬貨を忘れてしまったのですが知りませんか」と声をかけた。
その結果、実験者がスーツ姿のビジネスマンスタイルで話しかけたところ、8割ほどの被験者は硬貨を返してくれましたが、同じ実験者がヨレヨレの服装で不潔感を前面に出した服装で声をかけたところ、3割ほどしか返してくれませんでした。
また別の実験で、実験者が被験者に対して簡単な頼みごとをする際に、警察官の制服、ショップ店員の制服、スーツ姿でそれぞれ話しかけたところ、警察官の制服の時が圧倒的に多く引き受けてもらえました。
このことから、人は相手を服装によってどのような人物であるかを判断し、それ相応の対応をすることが分かりました。
今では人道的に許されない実験として、心理学者のフィリップ・ジンバルドーにより、スタンフォード監獄実験という状況が人に与える影響についての実験が行われました。
被験者として性格診断で比較的平均的な数値を出した大学生を、看守役と受刑者役に分け、それぞれ立派な看守の制服と貧相な受刑者の制服を着用し、2週間の間それぞれの役職に準じた生活をはじめました。
その結果、看守役の被験者は、受刑者役の被験者たちに対して、日に日に残酷で非人道的な行動を繰り返すようになり、2週間を想定していた実験も6日で中止となりました。
このことから人間の行動は、その人の元々の性格ではなく、置かれた状況によって決まることが分かりました。
全国的に問題となっているいじめについても集団で行われることが多く、元々の性格も起因するとは思われますが、この実験から集団という状況がその行為を助長しているとも考えられます。