こんにちは。
私の働いていた会社では朝の1~2分を使い、毎日誰かが何かしらのスピーチをする慣例がありました。
内容は「最近ハマっていること」、「ニュースの内容」、「新型iPhoneの情報」などなんでもよく、常に新たな情報や刺激を取り入れようと始めたのだと思います。
私は基本的にニュースの話題を噛み砕いて説明し、それについての自分の意見を言い凌いでいましたが、毎日ニュースを眺めていても必ず炎上系のネタはありました。
炎上系とは、最近の例では、某お笑い芸人の多目的トイレの間違った使い方のように、自身の行いで、大多数から非難され、話題になることと言われています。
この炎上が起きるのは匿名性が確保されたネット上に多く存在し、集団によるリスキーシフトが起きていると考えられています。
リスキーシフトは、普段は慎重に判断をし、節度ある行動がとれる人が、集団の中で判断することで、より危険でリスクの高い決断を容易にするようになることです。
簡単な例を挙げますと、「赤信号みんなで渡れば怖くない」という小学生の頃によく聞いた言葉は、まさにリスキーシフトによるものだと考えられています。
しかし、集団になったからといって必ずしもリスキーシフトが起こるわけではなく、集団の構成によっては、リスキーシフトが起こらず逆にコーシャスシフトが起こることもあります。
コーシャスシフトは簡単にいってしまえば、リスキーシフトの逆で、集団になることでより安全な判断をする傾向になるというものです。
集団内に元々リスキーな選択をしやすい人がいると、集団がリスキーシフトを起こしやすくなり、そういった人は集団を引っ張るカリスマ性も高い傾向にあり、余計に集団の意見としてリスキーな選択がされるようになります。
また、集団という状況が何かあった時の責任の所在をあやふやにすることができる点も、リスキーシフトに繋がっていると考えられています。
そのため、炎上に至るまでのやり取りも小さな非難から過激なものへと、匿名性を利用し大きくなっていき、やりすぎというレベルになっても集団の意向として攻撃を続けてしまいます。
社会心理学者のストーナーは集団でリスキーシフトが本当に発生するのかを調べました。
6人1組の学生グループを作成し、12の議題について討論を行い、最終的に保守的な結論と危険を伴う結論の比率を求めました。
議題の内容は、重病を患っていて不便ではあるが、このまま維持し続けて生きていくか、命を落とすかもしれないが治れば自由に生きていける手術を受けるかなどの、それぞれ大きなメリットデメリットがあるものを用意しました。
結果、集団での回答が個別の回答に比べて、よりリスキーな選択をする傾向にあることが分かりました。
もちろん前述の通り、集団を構成する人によっては、安全な判断を好むコーシャスシフトが起きることもあるので、集団を構成する人が重要ということになります。
ここまでリスキーシフトは、「危険な選択を取りたがる」、「危ない」のような印象がついてしまったかもしれませんが、必ずしも悪いことばかりではありません。
世の中の多くのヒット商品は、革新的なアイディアゆえに売れないというリスクと隣り合わせであったと考えたら、リスキーシフトによるハイリスクハイリターンな選択をしたため、得られた結果であるとも考えられませんか。
「集団で討議をする」ということは、結果がよい方向へ出ることもあれば、逆にとても危険な方向へ出ることもありますので、自分の意見をしっかりと持ち、どうしていきたいかをしっかりと見定める必要があると考えられます。