こんにちは。
臨床心理学の中でも表に出る症状の大きさから比較的認知度の高いものが統合失調症だと思われます。
ただ陽性の場合は比較的症状が表出しますが、陰性の場合は周りの人に気づいてもらえるまでに時間がかかってしまうこともあります。
約100人に1人の発症率で10代の思春期ごろから30~40代の人の罹患率が高い傾向にあります。
また別称として精神分裂病と言われることもあります。
統合失調症の症状は大きく分けて、陽性症状、陰性症状、認知機能障害の3つの症状に分類されます。
・陽性症状
「誰かに見張られていて殺されるかもしれない」、「誰かの声が聞こえてその指示通りにしないと大変なことになる」など実際にはいないし聞こえるはずのない人影や声などが聞こえるようになり、精神的に追い詰められてしまいます。
これらを払拭するために突然大きな声をあげたり暴れたりと3パターンの内もっとも症状が表に出てきます。
また、会話に一貫性がなくなりコミュニケーションが円滑に取れなくなるなど社会生活に支障をきたすこともあります。
・陰性症状
何かをしようという意欲が低下し、行動力が低下する傾向にあります。
難しい言い回しなどの理解に時間を要したり、感情の起伏が少なくなったりと非行動的な状態になります。
これにより、他者とのコミュニケーションも難しくなり、対人関係よりも自分の世界に閉じこもるようにもなります。
・認知機能障害
大切な仕事よりも目先にある仕事をやってしまうなど物事の優先順位の判断が難しくなったり、記憶力や集中力の低下が見られます。
また本や文字を目で追いながら速やかに理解したりすることが難しくなるケースも多く、これも日常生活に大きな支障をきたすと考えられています。
統合失調症は症状の現れ方から下記の4パターンに分類されます。
・妄想型
誰かに見られている、誰かの声が聞こえるなど妄想や幻聴が顕著に現れます。
その妄想や幻聴に従わないといけないという気持ちが強くなり、自分の意図しない行動を取ってしまう傾向があります。
・破瓜型
比較的思春期に多く現れ、支離滅裂な会話や行動が多く見られます。
子どもっぽい感情が湧き上がることもあり、それをおかしなことと自覚し、表に出さないように何もしないようになってしまうこともあります。
・緊張型
比較的若い年代に多く、やたらと動き回ったり、逆にじっと動かなくなったり、不思議な姿勢を取るようになったりと行動面に強く現れます。
・分類不能型
妄想や幻聴、無気力感や不安感などの異なる型の症状が混在してる状況です。
統合失調症では一般的に、前兆期、急性期、休息期、回復期に分類されそれぞれの時期により症状も変化します。
・前兆期
特に目立った症状はありませんが、何となく夜眠れなかったり、少しのことでイライラしたりと少し変だなと感じるようになります。
症状を悪化させないために、過労や睡眠不足には十分に注意する必要があります。
・急性期
この時期においては、比較的前述した陽性症状が顕著に見られます。
幻覚や幻聴、妄想の肥大化などが起こり、その不安を払拭するために周りから見ておかしな行動をすることもあります。
周りからの刺激に敏感で、一層強い不安や恐怖を感じるようになります。
抗精神病薬などを用い、できる限り症状を抑えてあげるようにします。
・休息期
基本的に急性期で大量のエネルギーを使用してしまったため、疲れ切ってしまい何もする気力が起きず、ぼーっとしたような状態が続きます。
無気力感、眠気や体のだるさなど陰性症状が多く見られます。
処方されるお薬を飲みながらゆっくり体と心を休めることに尽くしましょう。
・回復期
諸症状が比較的落ち着き、消費した気力も回復し、比較的元気な時期です。
急性期や休息期では不安や無気力感で出来なかったことへも挑戦してみようと思えるようにもなりますが、一度に色々なことをせずに少しずつ挑戦していくことが望ましいです。
また、再発防止のためにカウンセラーさんの指示に従いつつ、薬の服用や簡単な作業、病気や治療への理解を深める心理教育などの行動療法も定期的に行いましょう。
ただ統合失調症は再発をすることもあり、人により再発の前兆は異なりますが、概ねはじめに変だと感じた、眠れない、イライライする、不安感が強くなるなどの症状が出ることが多いため、家族や周りの人は再発のサインを見逃さないように見守ってあげることが望ましいです。
もちろん早期であれば薬の服用などで抑えることも出来るので、少しでも異変を感じたら再度心療内科や精神科を受診するのがよいでしょう。